松谷基和先生の著書が刊行されました

松谷基和先生の著書『民族を超える教会―植民地朝鮮におけるキリスト教とナショナリズム―』(明石書店、3,800円+税)が2月25日に刊行されました。

【内容紹介(出版社のHPより)】
韓国のキリスト教会は、日本の植民地支配の抵抗の拠点として民族主義の精神的基盤になっていたと考えられてきたが、本書では、むしろ欧米宣教師の宗教的な植民地支配の下で、民族と教会の独立を目指して闘ってきたという新しい韓国キリスト教史を描きなおそうとする。

【目次】
はしがき
序論 研究の目的
 1.研究史の確認
 2.日本語の研究
第1章 朝鮮王朝とカトリック宣教師
 1.朝鮮カトリック教会の起源
 2.フランスとアメリカの干渉
 3.朝鮮のカトリック共同体
 4.不平等条約と宗教の自由
 5.避難所としての教会
第2章 プロテスタント宣教師と権力
 1.朝鮮におけるプロテスタント宣教の開始
 2.朝仏条約のプロテスタント宣教師への影響
 3.キリスト教に対する民衆の不信感
 4.治外法権と初期信徒
 5.現地習俗との対立
 6.カトリックとプロテスタントの対立
 7.宣教師と物質的豊かさ
 8.宣教師による社会的ヒエラルキーの受容
 9.召使いからクリスチャンの指導者へ
 10.宣教師と朝鮮の支配層
 11.プロテスタントのエリート信者――いくつかの例外
第3章 ミッション支配下での教会形成
 1.教会組織なき信者数増加
 2.宣教師と朝鮮人助事の給与格差
 3.朝鮮人指導者のいない朝鮮長老派教会
 4.見かけだけの独立
 5.宣教師に対する朝鮮人信徒の恭順
 6.朝鮮人信徒に対する差別的措置
 7.教派間競争と宣教地分割
第4章 ミッションスクールの運営方針
 1.長老派教会の学校
 2.先宣教、後教育
 3.教会学校の運営
 4.再開されたミッションスクール
 5.代表的な長老派学校の出身者
 6.メソジストの学校――培材学堂
 7.近代的な教育機関
 8.メソジストの教会学校
第5章 教会と政治
 1.独立協会への教会の視線
 2.政治と宗教の分離
 3.日本による保護国化への対応
 4.朝鮮教会の義兵に対する反発
 5.日韓併合に対する沈黙
第6章 朝鮮人クリスチャンの教会批判
 1.コンダンコル教会の内紛
 2.教会内の内紛
 3.平壌における騒乱
 4.宣教師と愛国主義者の狭間で
 5.日本人クリスチャンとの連携
第7章 朝鮮人知識人の教会批判
 1.学生ストライキ
 2.安昌浩の大成学校
 3.五山学校における李昇薫と李光洙
 4.李光洙の教会に対する姿勢
 5.植民地政府による教育令
 6.尹致昊の悩み
 7.民族運動の拠点としてのYMCA
第8章 朝鮮教会と三・一独立運動
 1.105人事件
 2.三・一独立運動
 3.李光洙と東京の朝鮮人学生による独立宣言
 4.三・一独立運動における天道教の関与
 5.意思に反した宣言書署名――吉善宙、梁甸伯、鄭春洙
 6.梁甸伯
 7.鄭春洙
 8.李昇薫と天道教の連携の背後――天道教による資金援助
 9.独立運動の裏面における宣教師と朝鮮人牧師の対立
 10.三・一独立運動に対する宣教師の対応
 11.参加者たちの地域的偏差
終章 1920年代以降の朝鮮教会とナショナリズム
 1.三・一独立運動後のクリスチャン・ナショナリスト
 2.朝鮮人クリスチャンの共産主義への接近
 3.復讐に向けた忍耐
 4.教会への変わらぬ忠誠
 5.宣教師の「文化政治」に対する反応
 6.宣教師と朝鮮教会の関係
 あとがき
 参考文献
 人名索引
 事項索引
 写真出典一覧

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