【新任教員紹介1】文景楠先生、ようこそ言語文化学科へ!

今年、言語文化学科では4人の新しい先生をお迎えしました。まず、哲学を担当なさる文景楠先生をご紹介致します。

<Q1> 「お名前」をお教え下さい。

ややこしいかもしれませんが、いくつか書き方があります。漢字だと「文 景楠」、カタカナだと「ムン キョンナミ」、ハングルだと「문 경남」、ついでにアルファベットで書くと「Moon Kyungnam」になります。それぞれ与える感じも、連想させる音も微妙に違いますね。自分としては、どちらかというと漢字表記が一番しっくりきます。

<Q2> 「ご専門(あるいは担当科目)」をお教え下さい。

ギリシア哲学、その中でも特にアリストテレスを専門にしていますが、学院では哲学系の科目を幅広く担当していく予定です。国際交流や語学教育にも関心があり、以前は英語の先生も少ししていました。残念ながら韓国語を教えた経験はありませんが、会話の練習がしたい人は歓迎します。

<Q3> 好きな食べ物は何ですか。

全般的に何でもよく食べます。幼少の頃から海外経験があるせいか、食べ慣れたこれがないと元気がでない、といったことはほとんどないです。例えば、アメリカに少し住んでいたときはずっとサンドイッチばかりだったような気がしますが、割と平気でしたね。

<Q4> 好きな映画を紹介してください。

観て、楽しんで、振り返ったらけろっと忘れるほうなので…

<Q5> 最近嬉しかったことは何ですか。

もちろん長すぎた学生生活に終止符を打てたことです。後は、仙台の街が自分が想像していたよりもずっと住みやすかったことでしょうか。

<Q6> 感銘深く読んだ本と学生に推薦したい本をお教えください。

自分にとって本を読むのは完全に仕事なので、確率的に「感銘を受ける」ことはどんどん減ってきています。以前感銘深く読んだ本も、今目を通したら全然違う感想を抱くかもしれません。人との出会いもそうですが、本もその出会いが生じた文脈によって印象ががらっと変わります。そういう意味では、人に勧められることよりも、本との偶然の出会いをたくさんもって欲しいですね。先生たちが授業中に(往々にして授業の中身と関係なく)ぽろっと出した題名とか、ネットで偶然読んだ書評とか、そういうものを頼りに書店と図書館をさまよってください。

<Q7> 研究者(あるいは教員)を志したのは いつですか。

僕は割と早い時期から研究者になることをぼんやりと望んでいて、一応そのつもりで人生計画を練ってきました。ただし、途中で何度も挫折しそうになった場面があって、結果的には立ち直ってなんとか研究者になれたわけですが、これに関してはもはや成り行きや僥倖としかいえないような部分があります。そのほとんどが自分の力ではどうにもならないもので、とにかく人に頼りました。
ちなみに、今は「研究者」だけでなく「教員」でもあるということを強く意識しています。ついでに「社会人」であるということも忘れないようにしないと…他にも、「外国人」とか、「東北の人」とか、意識しなければならないことが歳をとるにつれてどんどん増えてる気がします。

<Q8> 学院大(生)のよいところをお教え下さい。

まだ着任して一ヶ月ぐらいしか経ってないので、この質問に答えるのはさすがに難しいですね。また、学院大か学院大生かで質問の理解も答えの中身もだいぶ変わってくると思います。とりあえず後者に関しては、(教科書的で恐縮ですが)まとめすぎず個々人の良さを見ていくことが大事ではないでしょうか。

<Q9> 学生時代に印象に残った先生について教えてください。

大学(院)生活全般を通して強く印象に残っているのは、やはり苦楽をともにしていただいた論文の指導教員です。学院大生の皆様も卒業論文で先生方と密につきあう時期がいつか必ず訪れると思いますが、さらに大学院に進学した場合は、それが長くは10年以上続くことになります。僕の最初の指導教員は、修士課程が終わる頃に病気で亡くなってしまいました。その後同じ学科にいらした別の先生に運良く受け入れていただいたわけですが、どちらの先生からも同じぐらい大きな影響を受けたと思っています。お二人の性格はかなり違ってますが、共通していたのは、議論を心から楽しんでいたという点でした。ついでに、どちらの先生も自分の主義主張を学生に押しつけるということがまったくなく、でもこちらが何か考えをもっていくととても真剣に相手をしてくれました。自分も学院大の学生たちにとってそういう先生になりたいと思ってます。

<Q10> 異文化“誤解”のエピソードがあればお教え下さい。

多文化生活が基本となってしまった僕の場合、もはや自文化がなんだったのかがかなり怪しくなっています。自文化と異文化の区別が曖昧なので、おやと思うことがあっても、これが異文化”誤解なのかがわかりません。個人的には完全に開き直っていて、どこにいっても旅行してるみたいでそれなりに楽しくてよかったと思ってます。裏を返せば、どこにいっても不慣れでおどおどしてるということになるかもしれませんが。

<Q11> 赴任以来、「なんでやねん」と思わずツッコんでしまった出来事はありますか。

ツッコみかどうかはわかりませんが、在籍している人のほとんど全員が東北六県の出身だということにかなり驚きました。でも今は、これはむしろ(本当は地方出身者であるにも関わらず)往来の激しい首都圏生活に慣れすぎてしまった自分にツッコむべきところなのかもしれないと思い始めてます。少なくとも当分の間は、学院大生に対して外に出てみたいという意欲をかき立てるような「異質分子」でいたいですね。

<Q12> 五月病に悩む学生へ一言、「こうしてごらん」。

まず、本当につらい場合は五月病どころで済む話ではない可能性があります。症状によってはきちんとした治療を受ける必要があるので、(なかなか難しいですが)SOSサインを出せるような心構えをしておいてください。
後はなんでしょうか…自分にとっての悩みの解決といえる状態が、具体的にどのようなものかをゆっくり考えてみるのがよいかもしれません。絵に描いたような模範的な学生になりたいのか(これはこれで立派なことです)、それとも、色々迷ったりするけどなんとか居場所を保てていればよしとするか。こんな感じでちょっとばかり距離をおいて考えたら、少なくとも過度に焦ったり自分を責めたりする気持ちは和らぐかもしれませんね。

最後に一言。

ここまで読んでくださった方は、「なかなか素直に質問に答えない先生だな!」という印象を受けられたと思います(笑)。それでいいんじゃないでしょうか。もちろんやりとりの基本は問いに誠実に答えることですが、学生の皆様には是非とも「この質問は特定の答えを誘導してるんじゃないか」とか「この質問はこういうことを前提にしてるけど、その前提は受け入れられない」といったことに思いをめぐらせて欲しいです(試験問題に対してあまりこれをやられるとつらいですが)。

【 学生からも一言 】

(教養学部言語文化学科 TKさん)
最初の印象はとても日本語がうまいなと思いました。(冗談です)
とても真面目な先生です。しかし、真面目だからと言ってつまらないわけではなくとてもお話が面白かったり、構成がうまいなと思うところもあり、楽しく授業を受けさせてもらってます。

(法学部法律学科 SAさん)
最初に文先生の授業を受けたとき、「丁寧だ!」とびっくりしました。大学の授業は高校までの先生と違い、不親切で、教えるのが下手と聞いていたので真逆の対応に驚きました。文先生は自身が研究者としての自覚の他、教員としての自覚も持ってて、授業に学生が興味を持てるような小ネタを挟んでくれます。
また専門がギリシア哲学なので、哲学の基礎といえる学問についての質問にもしっかり答えてくれます。
それに哲学者らしい素直ではない言い回しが面白いです!