スクーリング情報(6)           課題図書紹介【日本語学と日本語教育】

【日本語と日本語教育】課題図書紹介         担当:佐藤真紀先生

日本で生まれ育ち、子どものときから日本語を母語として育ってきた人にとって、「日本語」は当たり前のものですね。苦労して学んだ経験もありませんし、普段話すときに日本語の文法や表現を意識することもあまりないでしょう。
では、日本語が正しく使える日本人ならば、誰でも日本語を教えられるのでしょうか。答えは”No”です。日本語が使えることと、日本語を「外国語として」外国人に教えるということは、全く別ものなのです。

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 日本語を学ぶとき、どこがどう難しいのでしょうか。日本語にはどのような特徴があって、それをどう伝えればいいのでしょうか。普段あまり意識して言葉を使っていないので、改めて聞かれると答えられないことが多いです。例えば「『おいしそうだ』と『おいしいそうだ』はどう違いますか?」と聞かれたら、戸惑いませんか。この2つは意味が大きく違うので、比べること自体に違和感があります。でも形を見れば「い」があるかないかの違いしかありません。似ていると思うのも当然でしょう。
 今回取り上げる本は、どちらも荒川洋平さんという方が書いた本です。著者自身、日本語教員であり、その実体験をもとに、日本語とはどういうものか、日本語を教えるとはどういうことか、日本語教員を目指す人が知っておくべきこと等が書かれています。
 日本語そのものに関心がある人は『日本語という外国語』から、日本語教育の様子が知りたい人は『もしも・・・あなたが外国人に「日本語を教える」としたら』から、読んでみるといいでしょう。どちらも、日本語教員という仕事の難しさ、面白さ、楽しさを味わうことができます。
 日本語教員には、学習者の視点に立って日本語を見ることが重要になってきます。この本を読んで、その第一歩を踏み出してください。