2019年度 スクーリング情報(7)【中韓の言語文化】課題図書紹介

【中韓の言語文化】課題図書紹介       担当:楊世英先生

日本人の思考や考え方について答えてくれるのが、内田樹『日本辺境論』である。

ヒト・モノの移動は、地域・産業・社会に大きく影響する。人の移動、人口と国家、社会の移動などについて、事例を挙げて説明しつつ、日本人ないし日本社会をどう見るべきかについても理論的に解説している。本書は日本社会への再認識の手かがりとなるので、ぜひ読んでいただきたい。

一方、アジア社会における多様性について、消費と人口規模という視点から解釈したのが、川端基夫『消費大陸アジア:巨大市場を読み解く』である。

本書は、アジア経済・社会を深く、なおかつ総合的に理解するためのヒントを提供してくれる。アジアには、共通性も多様性も存在している。これまでは、アジアを考察する際、歴史的・現実性を主眼に置くものが多かったけれど、本書は多くの統計データと様々な側面に拠りながらアジア全体を眺めており、アジアへのよりよい理解を深めたい、断片的ではなく総合的理解が必要だという著者の思いが伝わってくる。アジア経済や社会について、このような縦横交錯的な議論が、いわば立体的に考えることが今、求められているのである。

アジア諸国に関する多くの議論を抽象し、ごく手短かに述べれば、アジアは過去50年間経済発展により着実に社会進歩を進めていたことは間違いない。しかし、真の豊かな社会あるいは近代化社会になるためには、これまで以上の改革が避けられない。世界経済にはより不確実な要素が充ちているからである。

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