スクーリング情報② 【文化のしくみ】課題図書紹介

【課題図書紹介】 -文化のしくみ-         担当:津上誠 先生

 

 「文化」とは、各社会の人々が共有するものの見方や考え方のことを言います。「文化のしくみ」では、芸術や思想のように高尚なものから、家族とか衣食住、恋愛、占いのように、そこら辺に転がっていそうなものまで、さまざまな事柄を「文化」の現れとしてとらえ、考察します。

 「文化のしくみ」研究には、「異文化理解を通じて自分の文化に気づく」という基本姿勢があります。 『イスラームの日常世界』 を選んだのは先ずそのことをわかっていただくためです。イスラム教徒は、1日5回祈るとか、女がベールを被るとか、断食月があるとかいった、不思議な習俗を実践します。この本はそれらを具体的に紹介しながら、実は彼らには私達にはない「すごいところ」があるのだということを、次第に気づかせてくれます。

 もしあなたの身近に、いつもあなたを気にかけてくれ、何もかも与えてくれ、賢い生き方を教えてくれる人がいたら、あなたはその人に喜んで従いたくなるはずです。イスラム教徒にとっての神とはそういう存在です。彼らの「すごいところ」とは、そういう存在を信じられるということです。個々の習俗は苦行ではなく神が教えてくれた理にかなった行為としてとらえられます。日々の生活は神と共にあり、意味に満ちあふれています。

 この本を読んでいくうちにあなたは、「すごいところ」を持たず何もかも自己決定せねばならない私たちの方がむしろ苦しい生き方をしているのではないかと思えてくるかもしれません。このときあなたは自文化についてひとつの気づきを果たしたことになります。

 さて、もう一つの本には 『在日韓国・朝鮮人』 を選びました。それは、差別といったリアルな社会問題に直面したときにも「文化」を考えることになるのだということに、ぜひ気づいていただきたかったからです。

 この本では、「在日」の人々が、自分が差別的状況の中にあると少しでも自覚してしまった場合、色々な「生存戦略」を採ることが紹介されています。自分が「在日」であることを隠し、普通の「日本人」として通そうとする人がいますし、そもそも自分は「在日」ではなく祖国(北朝鮮や韓国)の人間なのだと位置づける人もいます。他方、自分が「在日」であることを隠したり否定したりしない人もいますが、そういう人々にも、自分は何よりも「在日」なのだと言って「在日」というカテゴリーをありのままに肯定させようとする人がいれば、自分は確かに「在日」だが、そもそも私が何人(なにじん)であるかは(例えば私が音楽家であるということに比べれば)さして重要なことではないと言う人もいます。

 しかし、この本をじっくり読んでいくうちにあなたは、「在日」の抱える問題の根っこには、「日本人」自身が知らず知らずにとってしまいがちな「民族」についての思い込みがあることに、気づいていくと思います。それは、人々を「韓国朝鮮人」か「日本人」かのどちらかに分けたがり、どちらとも言えない曖昧な存在は許さないという、「日本人」自身がとりがちな分類法です。差別といった生々しい問題にも、「文化」すなわち社会の人々が共有するものの見方・考え方が、根底に横たわっているということです。

2018年度 スクーリング情報(1)

言語文化学科に合格されたみなさん、おめでとうございます。

今は大学生活への期待も高まる時期かと思います。これからの4ヶ月は、大学生活にとって重要な準備期間となります。それは勉学についても、それ以外の活動についても同じです。どうぞ一日一日を充実したものにしてください。

言語文化学科では入学前の準備教育として、「スクーリング」と呼ばれるイベントを実施しています。お手元に既に資料が届いているかと思いますが、日程・場所は以下のようになっています。必ず出席してください。

日時:2018年3月3日(土)10:10-17:00
場所:泉キャンパス2号館224教室ほか

2号館はここです↓

※      ※       ※

<当日のプログラム>

Ⅰ.10:10~10:50 スクーリングの説明、学科長挨拶、学生の自己紹介

             (2号館224教室)

Ⅱ.11:00~11:50 〈課題2〉に関するセミナー part 1

①「ことばの分析」(岸浩介先生、32A教室)
②「考えること・表現すること」(文景楠先生、32B教室)
③「ことばの習得と教育」(渡部友子先生、32C教室)
④「ことばとコミュニケーション」(小林睦先生、32I教室)
⑤「日本語学と日本語教育」(佐藤真紀先生、32J教室)

Ⅲ.12:00~12:50 昼食

Ⅳ.13:00~15:15 学びのオープンキャンパス(4年生が高校生に向けて卒業論文について発表するイベントです。具体的なプログラムは当日お知らせします。)

Ⅴ.15:30~16:20 〈課題2〉に関するセミナー part 2

①「文化のしくみ」(津上誠先生、32A教室)
②「日中韓の言語文化」(原貴子先生、32B教室)
③「英米の言語文化」(秋葉勉先生、32C教室)
④「独仏の言語文化」(宮本直規先生、32J教室)

<休憩> 16:20~16:30 → 224教室に移動

Ⅴ.16:30~ アンケート回収及び解散

知的な「つながり」の旅(教養学部公開講座)

9月14日(木)から12月14日(木)まで、知的な「つながり」の旅(大人の教養倶楽部)が土樋キャンパスホ―イ記念館 コラトリエ・リエゾン(18:30-20:00)で行われています。言語文化学科では、佐藤真紀先生「外国につながる子どもの学びを考える」(10月5日)、松谷基和先生「日韓関係の今昔」(10月12日)、金永昊先生「『雨月物語』「菊花の約」珍釈」(10月19日)の3人の先生の講演が終了し、12月14日には信太光郎先生「人はいかにして物と出会うのか」が予定されています。

講演会の案内①「他人?隣人?当事者? セクシュアリティの多様性」

 PORTAの取り組みの中の企画として、東北HIVコミュニケーションズ代表の小浜耕治さんをお迎えして、性の多様性とともに生きるとはどういうことなのかをお話し頂きます。
 日ごろ、性を語ることはどれくらいあるでしょう?自らにとって、性とはどういうものなのか、それを言葉にしようと思ったことはあるでしょうか?それを周囲の人と話し、互いの性について掘り下げたことは?
 私たちの住む社会は、性に対して後ろ向きです。そんな社会で性的マイノリティはどんなことに困り、どんなことに気付いているのか?そのことは、社会の性に対する姿勢にどんなことを投げかけているのでしょうか?

●日にち:7月12日(水)
●時間:10:30-12:30
●場所:3号館6階の多言語多文化実習室(人数によっては教室変更の可能性が出る場合もあります)
●主催:ドキュメンタリーとフィールドワークゼミ(宮本ゼミ、酒井先生ゼミ)

<講師紹介> 小浜耕治|こはま・こうじ
大阪府出身。1982年より仙台に。92年に自分へのカミングアウトを果たし、ゲイサークルの活動をはじめる。93年の東北HIVコミュニケーションズ(THC)の立ち上げに加わり、2003年、代表に就任。04年、男性同性間HIV感染対策のためのグループ「やろっこ」を立ち上げる。震災後には多様なセクシュアリティの当事者による手記収集のプロジェクト「レインボーアーカイブ東北」をせんだいメディアテークと協働して行っている。レインボー・アドボケイツ東北で行政機関等への政策提言を行い、宮城県内自治体の男女共同参画基本計画へ性的マイノリティ施策を盛り込むよう活動した。また、LGBTの枠にとらわれず精神障害や発達障害、生活困窮といったより困難を抱えている人の相談支援も幅広く行っている。

明日(4日・土曜)は『学びのオープンキャンパス』

明日(4日・土曜)13時より、泉キャンパス2号館2階にて『学びのオープンキャンパス』が開催されます。

言語文化学科の会場は221教室、発表者は7名です。

詳細は コチラ をご覧ください。

ご来場をお待ちしています。

 

スクーリング情報(13)最終案内

 2017年もあっというまに2月に入り、言語文化学科のスクーリングまであと1週間となりました。以下のタイムスケジュールをご覧ください。当日は10時30分開始、16時30分ごろ解散となります。

日時:2017年2月13日(月)午前10時30分より
会場:224教室(2号館2階)ほか

<タイムテーブル>
10:30~11:20 スクーリングの説明、学科長挨拶、自己紹介など
11:20~12:10 課題①に関する英単語確認テスト
12:10~13:00     休憩・昼食
13:00~13:50 課題②に関するセミナー(3号館2階A・B・C・I・J教室)
13:50~14:00     休憩
14:00~14:50 課題③に関するセミナー(3号館2階A・B・C・I・J教室)
14:50~15:00      休憩、224教室に移動
15:00~15:50 課題①に関する講義~結果分析と講評~
16:00~16:20 確認テスト成績優秀者の表彰及びレポートの回収

※英単語確認テストの点数が5割に満たない場合、4月に行われる追試の対象となります。しっかり勉強してください。

※本を読んでその内容を的確にまとめることは、入学後の勉学の中で必要とされる重要なスキルです。課題(2)(3)への取り組みの中で、その練習をしてください。

では、当日みなさんにお会いするのを楽しみにしています。

スクーリング情報(12)卒業生からのメッセージ

【 卒業生から新入生へのメッセージ 】

 本日は、言語文化学科をこの3月に卒業する方々から新入生のみなさんへのメッセージをお送りします。在学生の視線から見たとき、学科の特徴とはどのようにとらえられるのでしょうか。スクーリングはどんな意味を持つものでしょうか。そして大学生とは人生のなかでどのような時期なのでしょうか?

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 言語文化学科に入学が決まったみなさん、合格&ご入学おめでとうございます!大学はどんなところだろう、どんな出会いがあるだろうと期待や不安がたくさんだと思います。私も四年前そうでした(^^)

私にとって東北学院での4年間はたくさんの変化の4年間でした。いろいろな先生方や個性豊かな友達との出会い、初めて触れるような学問との出会い、そういった様々な出会いで、物の見方や考え方に本当にたくさんの変化があったと思います。将来の夢もそのひとつ。4年前は全く興味がなかったものが様々な出会いの中で気付けば憧れに変わり、同じ志を持った仲間と切磋琢磨することができました。写真は4年間一緒に頑張った、言語文化学科の教職課程メンバーと、小学校教諭免許取得プログラムの仲間たちとの写真です。素敵な仲間たちとの出会い、そして過ごした日々は私の宝物です。言語文化学科には頑張る学生を応援し、見守ってくれる先生がたくさんいます。様々な個性と魅力を持った学生がたくさんいます。新しいことを学ぶことに貪欲に、自分が変わることを恐れずに、楽しい大学生活を送ってください!応援しています!

言語文化学科4年 佐藤夏海

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 私はスクーリングに参加したことで、大学入学前にどんなことを勉強していくのかが分かって入学後の勉強がますます楽しみになり、また、これから大学生活を共にする同級生に会えたことが良かった、と思うことができました。なぜなら、スクーリングでは、これから勉強する分野について先生方から教えていただいたから、また、スクーリング中の活動はグループで行うため、特に同じグループの人と仲良くなることができたからです。数ある分野の中から興味のあるものを自分で選択し、その分野を専門とする先生から授業を受けたことで、自分の興味がますます大きくなりました。

  ↑韓国平澤大学での教育実習              ↑帰国する留学生の見送り

 また、その分野の課題図書があり、その本の要約と自分が考えたことを書く課題があったため、分野の内容を本でも勉強でき、その内容をどれくらい理解できているのかを授業で確認することができました。分からなかったところは先生が説明をしてくれました。それ以外にも、入学後に行う英語の単語テストを行ったので、入学後の負担が少なくなったこともスクーリングの良かった点です。そして私は、スクーリングの時に出会った同じグループの人と仲良くなり、4年間大学でいつも一緒にいます。入学してから友達を作ることもできますが、入学前に大学の友達が作れる機会は他にないと思うので、スクーリングはとてもいい機会だと思います。勉強面、生活面ともに事前に準備を行えれば、入学後の不安が少しでも軽減されると思うので、これから始まる大学生活に向けて、スクーリングに取り組んでみて下さい!

言語文化学科4年 大江萌子