3月7日(土)のスクーリングは中止

皆さんも既に各種メディアの報道でご承知の通り、新型コロナウィルス感染症が猛威を奮っています。大学はその拡大防止のため、種々の公的行事中止を決断し、我々言語文化学科も苦渋の選択を迫られることになりました。

皆さんが、そして我々も楽しみにしていた3月7日(土)のスクーリングは、どうぞ中止させて下さい。申し訳ありません。

なお、スクーリング時に提出を義務づけていた4種類のレポートについて、これは是非とも読ませてもらいます。追って、提出方法を連絡いたしますので、今しばらくお待ち下さい。

そうそう、「TGドリル」にもトライし続けていますか。「確認テスト」で満点がとれるまで、コツコツ学習に励んで下さいね。

入学までおよそ1ヶ月でしょうか。たかが1ヶ月、されど1ヶ月、まだまだ準備できることがあります。4年の大学生活を充実したものとするため、今のうちにいろいろな“基礎体力”を養っておいて下さい。それでは4月にまた。

松谷先生の発表と、井戸川慶子さんの卒論が新聞に取り上げられました

1930年代に東北帝国大学(現、東北大学)に留学した韓国の詩人・金起林(キムギリム)について学ぶシンポジウムが11月30日に行われ、本学科の松谷基和先生と井戸川慶子さん(4年生)が登壇しています。

シンポジウムでは、卒業論文で金起林を取り上げた井戸川さんが彼の詩「仙台」に触れ、考察を加えるとともに、日韓交流の今後について意見を述べ、さらには言語文化学科における多様な学びをも紹介してくれました。

詳細は、以下の『河北新報』12月11日(夕刊)の記事をご覧下さい。

河北新報夕刊_20191211-1-1

我々の活動が新聞に取り上げられました

“HANDS”という、地域の外国人の日本語学習をサポートするサークルの記事が、
『河北新報』夕刊(12月20日)に掲載されました。
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201912/20191220_13024.html

教養学部で日本語教員を目指す学生たちが中心に始めた活動で、いまも毎週2回、
とても熱心に活動しています。

2020年度スクーリング情報⑩【独仏の言語文化】課題図書紹介

課題図書紹介 【独仏の言語文化】 担当:宮本直規先生

・小田中直樹『フランス7つの謎』(文春新書、2005)

・新野守広・飯田道子・梅田紅子『知ってほしい国ドイツ』(高文研、2017)

 フランス文化の紹介は、文学、絵画、音楽,映画などの芸術を題材として無数の書物が書かれてきましたし、また食文化やファッション関係の解説書も数多く存在します。しかし、それ以外の関心を持って留学した人が、実際にフランスに住んでみて感じたギャップやカルチャーショックを正直に記した本は意外に少ないのではないでしょうか。
 本書は、フランスの社会経済史を専門とする若い研究者がフランスに長期滞在したときに感じた、日常生活の疑問を率直に語り、その答えを探る内容になっています。いわば、日本の一般市民の視点を保ちながらのフランス体験記であり、知ったかぶりや無条件のフランス礼賛とは無縁です。
 一読すれば、頑固なフランス人気質が、グローバル化の波の中でどのような軋轢を引き起こしているのか、よくわかりますし、日本の社会と比較することによって、フランスの現状だけではなく、日本社会の常識を考える視点も与えてくれます。

一方、「ドイツの言語文化」の課題図書は、『知ってほしい国ドイツ』(新野、飯田、梅田編著、高文研、2017、1700円)という本です。ドイツの文化や歴史について、入門者にも分かりやすく解説した本は現在数多く出版されていますが、この本もそうしたものの一つです。
 ドイツのペット事情やビールへのこだわりといった「ドイツ文化あるある!」的な記述でスタートし、第2次世界大戦を境としたその前後のドイツ文化の点描が続き、ヒトラーとナチズムについての章を経て、難民問題、脱原発、EUとの関係といった極めて現代的なテーマによって締めくくられます。特に第2次世界大戦前夜からヒトラー、ナチス、東西ドイツ、ドイツの再統一という近現代史の流れは、言語文化を志す皆さんには是非とも読んでおいてもらいたい部分です。
 「知ってほしい」というタイトルが示すとおり、ドイツのことを「知りたい」と思っているみなさんには格好の入門書であることは確かなのですが、個々の部分では入門書の枠を超えた、突っ込んだ記述になっていることもまた事実です。しかし巻末には時代毎のドイツの地図や簡単な年表もついていますし、その気になればネットやスマホを駆使して未知の概念を調べながら読み進むことも可能なはずです。今のうちに、ぜひそうした読書のあり方にもチャレンジしてみて下さい。

2020年度スクーリング情報⑨【英米の言語文化】課題図書紹介

課題図書紹介 【英米の言語文化】 担当:秋葉勉先生

・池上彰『そうだったのか! アメリカ』(集英社文庫、2009)

・コリン・ジョイス『「イギリス社会」入門』(NHK出版新書、2011)

「英米の言語文化」のジャンルでは、イギリスとアメリカに関係する文化、文学、歴史、思想、政治、経済など様々なことを学ぶことができます。関連する科目として、「英米文学史(2年次)」、「英米の言語文化(2年次)」、「英米文学(3年次)」、「原典講読(3年次)」、「言語文化学演習(3年次)」、「総合研究(4年次)」が用意されています。ことばとしての英語の言語表現と機能を学び、それと同時にことばの背後にある意味をさまざまな視点から分析・研究することによって、英米の言語文化のもつ特質を学ぶことができます。

次に推薦図書について簡単に紹介します。

(1)池上彰著『そうだったのか!アメリカ』(集英社) は、よくあるアメリカの紹介本とは違い、池上氏が現代のアメリカが抱える問題を分かりやすく解説しています。9章で構成されていて、アメリカの「宗教」、「連合国家」、「帝国主義」、「銃」、「裁判」、「移民」、「差別」、「経済」、「メディア」について、豊富な資料をもとに多角的な視点から解説されています。読んだあとに読者が「そうだったのか!」と驚かされ、アメリカを十分に理解できる内容になっています。

もう一つの書物は、(2)『「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国』(NHK出版新書) です。著者はコリン・ジョイスという英国人ですが、大学卒業後に日本とアメリカに18年以上も滞在した経験を持っているため、自分の国の文化―例えば、お酒やパブ、コーヒー文化、歴史、イギリス英語とアメリカ英語の違いなどを、日本やアメリカの文化と比較しながら客観的に説明しています。ただ単に自国の文化の優れた点を強調している他の書物と違い、ユーモアを交えてイギリスの良いところも悪いところも均等に説明している入門書です。
(1)と(2)の書物は、本学の言語文化学科で他国の言語と文化を学ぶ方法のヒントを与えてくれる非常に役立つものです。

2020年度スクーリング情報⑧【中韓の言語文化】課題図書紹介

課題図書紹介 【中韓の言語文化】 担当:金永昊先生

・池内敏『竹島―もうひとつの日韓関係史』(中央公論新社、2016)

・箱崎みどり『愛と欲望の三国志』(講談社、2019)

●池内敏『竹島―もうひとつの日韓関係史―』(中公新書2359、中央公論新社、2016)

竹島(韓国名:独島)は日本と韓国の間で領有権をめぐって対立しています。それぞれが正当性を主張していますが、議論は噛み合わず、韓国による占領が続いています。

 今回のスクーリングでは、まず、我々がよく目にしたり、耳にする「固有の領土」というのはどのような意味を持つものなのかについて話し合います。これは、「昔からずっと日本の領土であった」という意味でしょうか。北方領土についても「日本固有の領土」と言えるのでしょうか。それでは、中国の立場でいうと、「固有の領土」とはどこからどこまででしょうか。モンゴルやイタリアは?

次に、日韓の文献資料・古地図を確認しながら、韓国の主張について検討します。一方、現在日本の社会科教科書には、竹島について、「日本海にある竹島では、17世紀には日本の人々が漁を行っていました。1905年に明治政府が国際法に従って島根県に編入し、日本固有の領土として再確認されました」と書かれています。ここで、日本人が漁を行っていれば日本の領土と言えるのか、17世紀には領有権という概念が存在していたか、「再確認されました」というのはどのようなことか、などについて話し合います。

 それから、1905年の日本領編入についての経緯と韓国側の主張、サンフランシスコ平和条約での領土画定、李承晩ラインの設定について検討します。これによって、みなさんは竹島問題について、マスコミが解釈した内容を鵜呑みにするのではなく、自分の独自の力で考えた答えを説得力を持って周りの人に説明できるようになることを目指しています。

●箱崎みどり『愛と欲望の三国志』(講談社現代新書2535、講談社、2019)

 まず、「三国志」と『三国志演義』は、性格の異なる全く別の書物であり、厳密に区別されなければなりません。本書を読んで、両者の違いについて、説明できるようにしましょう。

 我々が『三国志』とよく呼んでいる作品は、中国の歴史の中で、一瞬ともいえる百年ほどの時代を描いた小説です。なのに、本場中国ではもちろんのこと、日本においても古代から現代に至るまで非常に大きな人気を博しました。特に、吉川英治の『三国志』をはじめ、映画やドラマ、アニメ、パソコンゲームに至るまで「三国志」が登場しています。この『三国志』は韓国においても古代から大きな人気を集め、日韓両国において異なる形で解釈され、享受されてきたのは非常に興味深いことです。

 本書は6章で構成されています。第3章から第6章までは、日本における「三国志」受容の歴史について分かりやすく説明されています。特に、江戸時代には歌舞伎や浄瑠璃のように人々が身近な娯楽として遊んでいましたが、明治時代には国家が目指す理想も担うようになり、日中戦争期、戦後など、時代が経つにつれて、各時代の要求に合わせて『三国志』が解釈されました。

 次に、本書の第1章と第2章をもとに、みなさんが考えている『三国志』の名場面、魅力的な人物について話し合うことにします。みなさんはどうして『三国志』が面白いと思いますか。キャラクターが魅力的だから?人生の教訓が詰まっているから?誰も勝者にならない、滅びの美学があるから?みんなで話し合いましょう。

2020年度スクーリング情報⑦【日本の言語文化】課題図書紹介

課題図書紹介 【日本の言語文化】 担当:房賢嬉先生

・荒川洋平『日本語という外国語』(講談社現代新書、2013)

・石黒圭『日本語は「空気」が決める』(光文社新書、2013)

いきなりですが、もしみなさんが外国人に次のようなことを聞かれたら、どう答えますか?

「私は田中です」と「私が田中です」はどう違うの?

「おいしそうだ」と「おいしいそうだ」はどう違うの?

「月(げつ)、火(かー)、水(すい)、木(もく)」の「火(か)」は、なぜ伸ばして読むの?皆さんにとって日本語は、もはや当たり前のものになっていて、これらの質問にどう答えればよいかわからないという方も少なくないでしょう。日本で生まれ育ち、母語として日本語を身につけてきたみなさんは、日本語を「国語」として学んでいます。国語の授業では、すでに知っている日本語を「文法」という視点で整理・分析する方法を学びます。一方、日本語を母語としない人は、「外国語」として日本語を学んでおり、その過程は母語話者とは逆のプロセスを辿ります。つまり、話す・書くための日本語(文法や表現)を学び、次第にそれを使いこなせるようになっていくのです。

『日本語という外国語』の著者、荒川洋平さんは「外国語」という視点で日本語を眺め、日本語とはどういう言語なのか、日本語を教えるとはどういうことなのかについて書いています。日本語や日本語教育に興味のある方はぜひ読んでみてください。日本語を母語としない人の視点に立ち、意識的・客観的に日本語を眺めることで、これまで見えてこなかったことが見えてくると思います。

2冊目の本は、『日本語は「空気」が決める』です。日本語を上手に使うためには、語彙や文法など、形式を知る必要がありますが、それだけでは不十分です。話し相手や場面に合わせてコミュニケーションの取り方を調整する能力も必要なのです。みなさんの普段の言語生活をふり返ってみてください。話し相手や場面によって話し方を無意識に(あるいは意識的に)変えていませんか。例えば、「目上の人とは敬語で話し、友達とはタメ口で話す」、「作文で使う言葉と話すときに使う言葉を使い分ける」といった具合です。自分を指すときだって、カジュアルな場面では「オレ」を、フォーマルな場面では「わたし」を使うなど、空気を読んでその場にふさわしい日本語を選んでいるのではないでしょうか。このように、日本語は人間・社会・文化と深く関わっていて、切り離して考えることはできません。

 2冊とも日本語に関する本ですが、『日本語という外国語』は主にことばそのものを扱っており、『日本語は「空気」が決める』は、ことばと社会の関わりや個人が使うことばを扱っています。日本語を眺める視点は異なりますが、日本語という言語をより深く理解するための様々な見方を提供してくれると思います。

2020年度スクーリング情報⑥【文化のしくみ】課題図書紹介

課題図書紹介 【文化のしくみ】 担当:津上誠 先生

・片倉もと子『イスラームの日常世界』岩波新書[電子版も可]

・福岡安則『在日韓国・朝鮮人』中公新書[電子版も可]

 「文化」とは、各社会の人々が共有するものの見方や考え方のことを言います。「文化のしくみ」では、芸術や思想のように高尚なものから、家族とか衣食住、恋愛、占いのように、そこら辺に転がっていそうなものまで、さまざまな事柄を「文化」の現れとしてとらえ、考察します。

 「文化のしくみ」研究には、「異文化理解を通じて自分の文化に気づく」という基本姿勢があります。 『イスラームの日常世界』 を選んだのは先ずそのことをわかっていただくためです。イスラム教徒は、1日5回祈るとか、女がベールを被るとか、断食月があるとかいった、不思議な習俗を実践します。この本はそれらを具体的に紹介しながら、実は彼らには私達にはない「すごいところ」があるのだということを、次第に気づかせてくれます。

もしあなたの身近に、いつもあなたを気にかけてくれ、何もかも与えてくれ、賢い生き方を教えてくれる人がいたら、あなたはその人に喜んで従いたくなるはずです。イスラム教徒にとっての神とはそういう存在です。彼らの「すごいところ」とは、そういう存在を信じられるということです。個々の習俗は苦行ではなく神が教えてくれた理にかなった行為としてとらえられます。日々の生活は神と共にあり、意味に満ちあふれています。

 この本を読んでいくうちにあなたは、「すごいところ」を持たず何もかも自己決定せねばならない私たちの方がむしろ苦しい生き方をしているのではないかと思えてくるかもしれません。このときあなたは自文化についてひとつの気づきを果たしたことになります。

 さて、もう一つの本には 『在日韓国・朝鮮人』 を選びました。それは、差別といったリアルな社会問題に直面したときにも「文化」を考えることになるのだということに、ぜひ気づいていただきたかったからです。

 この本では、「在日」の人々が、自分が差別的状況の中にあると少しでも自覚してしまった場合、色々な「生存戦略」を採ることが紹介されています。自分が「在日」であることを隠し、普通の「日本人」として通そうとする人がいますし、そもそも自分は「在日」ではなく祖国(北朝鮮や韓国)の人間なのだと位置づける人もいます。他方、自分が「在日」であることを隠したり否定したりしない人もいますが、そういう人々にも、自分は何よりも「在日」なのだと言って「在日」というカテゴリーをありのままに肯定させようとする人がいれば、自分は確かに「在日」だが、そもそも私が何人(なにじん)であるかは(例えば私が音楽家であるということに比べれば)さして重要なことではないと言う人もいます。

 しかし、この本をじっくり読んでいくうちにあなたは、「在日」の抱える問題の根っこには、「日本人」自身が知らず知らずにとってしまいがちな「民族」についての思い込みがあることに、気づいていくと思います。それは、人々を「韓国朝鮮人」か「日本人」かのどちらかに分けたがり、どちらとも言えない曖昧な存在は許さないという、「日本人」自身がとりがちな分類法です。差別といった生々しい問題にも、「文化」すなわち社会の人々が共有するものの見方・考え方が、根底に横たわっているということです。

2020年度スクーリング情報⑤【ことばとコミュニケーション】課題図書紹介

課題図書紹介【ことばとコミュニケーション】 担当:信太光郎先生

・鷲田清一『ひとはなぜ服を着るのか』(ちくま文庫)

・橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』(ちくま新書)

橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』、鷲田清一『ひとはなぜ服を着るのか』

「美しい」とはどういうことでしょうか。たとえば味が美しいこと、つまり「美味しい」とは。それが、甘い、しょっぱい、辛いといった感覚刺激の一種ではないことは明らかです。しかしどんな感覚なのかと問われると、答えに窮してしまいます。味覚刺激をどう掛け合わせようと、「美味しい」はでてきません。(「旨い」とは違います。「旨い」の素はれっきとした化学物質です)。実際、「美味しい」というのは、あなたが口腔や鼻腔や食道の粘膜で感じるようなものでないのです。それはむしろ、あなたの身体の外側にひろがる感覚です。いうなら、美味しいと「誰か」に言いたい、美味しいと「誰か」に分かってもらいたい、美味しいから「誰か」にも食べさせてあげたい、そういった感覚が「美味しい」です。それは人と人の「あいだ」で感じられる感覚なのです。一般に「美しい」という感覚は、人間が人と人の「あいだ」を生きる存在であることに関わっているのです。

人間がこうして「あいだ」を生きる存在であるということは、人間が「服を着る」理由も説明してくれます。服というのは、体温調整機能をになった動物の毛皮のような、単なる生きるための実用品ではありません。人間にとって「服を着る」ことの本質的な意味は、身体表面というものを拡張することにあります。人間において身体とは、上皮細胞と粘膜によって囲まれた領域のことではなく、その表面のごく近くに引っ掛かった布地(第二の皮膚)を通じて、外側へと広がっていくものなのです。人間はその拡張された身体表面において、冷温感や触感という生理的皮膚感覚にとどまらず、「誰かのまなざし」も感ずるのです。こうした独特の身体感覚をもっていることもまた、「あいだ」を生きる人間存在を特徴づけています。

以上のことを念頭において、橋本氏、鷲田氏の本を読んでみてください。