2020年度スクーリング情報⑧【中韓の言語文化】課題図書紹介

課題図書紹介 【中韓の言語文化】 担当:金永昊先生

・池内敏『竹島―もうひとつの日韓関係史』(中央公論新社、2016)

・箱崎みどり『愛と欲望の三国志』(講談社、2019)

●池内敏『竹島―もうひとつの日韓関係史―』(中公新書2359、中央公論新社、2016)

竹島(韓国名:独島)は日本と韓国の間で領有権をめぐって対立しています。それぞれが正当性を主張していますが、議論は噛み合わず、韓国による占領が続いています。

 今回のスクーリングでは、まず、我々がよく目にしたり、耳にする「固有の領土」というのはどのような意味を持つものなのかについて話し合います。これは、「昔からずっと日本の領土であった」という意味でしょうか。北方領土についても「日本固有の領土」と言えるのでしょうか。それでは、中国の立場でいうと、「固有の領土」とはどこからどこまででしょうか。モンゴルやイタリアは?

次に、日韓の文献資料・古地図を確認しながら、韓国の主張について検討します。一方、現在日本の社会科教科書には、竹島について、「日本海にある竹島では、17世紀には日本の人々が漁を行っていました。1905年に明治政府が国際法に従って島根県に編入し、日本固有の領土として再確認されました」と書かれています。ここで、日本人が漁を行っていれば日本の領土と言えるのか、17世紀には領有権という概念が存在していたか、「再確認されました」というのはどのようなことか、などについて話し合います。

 それから、1905年の日本領編入についての経緯と韓国側の主張、サンフランシスコ平和条約での領土画定、李承晩ラインの設定について検討します。これによって、みなさんは竹島問題について、マスコミが解釈した内容を鵜呑みにするのではなく、自分の独自の力で考えた答えを説得力を持って周りの人に説明できるようになることを目指しています。

●箱崎みどり『愛と欲望の三国志』(講談社現代新書2535、講談社、2019)

 まず、「三国志」と『三国志演義』は、性格の異なる全く別の書物であり、厳密に区別されなければなりません。本書を読んで、両者の違いについて、説明できるようにしましょう。

 我々が『三国志』とよく呼んでいる作品は、中国の歴史の中で、一瞬ともいえる百年ほどの時代を描いた小説です。なのに、本場中国ではもちろんのこと、日本においても古代から現代に至るまで非常に大きな人気を博しました。特に、吉川英治の『三国志』をはじめ、映画やドラマ、アニメ、パソコンゲームに至るまで「三国志」が登場しています。この『三国志』は韓国においても古代から大きな人気を集め、日韓両国において異なる形で解釈され、享受されてきたのは非常に興味深いことです。

 本書は6章で構成されています。第3章から第6章までは、日本における「三国志」受容の歴史について分かりやすく説明されています。特に、江戸時代には歌舞伎や浄瑠璃のように人々が身近な娯楽として遊んでいましたが、明治時代には国家が目指す理想も担うようになり、日中戦争期、戦後など、時代が経つにつれて、各時代の要求に合わせて『三国志』が解釈されました。

 次に、本書の第1章と第2章をもとに、みなさんが考えている『三国志』の名場面、魅力的な人物について話し合うことにします。みなさんはどうして『三国志』が面白いと思いますか。キャラクターが魅力的だから?人生の教訓が詰まっているから?誰も勝者にならない、滅びの美学があるから?みんなで話し合いましょう。

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