2020年度スクーリング情報②【ことばの分析】課題図書紹介

課題図書紹介 【ことばの分析】 担当:岸浩介先生

・黒田龍之助『はじめての言語学』(講談社現代新書、2004)[電子版も可]

・広瀬友紀『ちいさい言語学者の冒険―子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店、2017)[電子版も可]

私たちは普段から何気なく「ことば」を使って生活しています。この「何気なく使っている」という事実があるため、「ことば」の使用はいわば「当たり前のこと」として見過ごされがちですが、少し視点を変えて考えてみると様々な問いが浮かんできます。いくつか例を挙げてみましょう。

 例えば、私たちは、今まで一度も発したことのない文を発することができますし、今まで聞いたことの無い文であっても理解出来ます。これはいったいなぜなのでしょう。また、私たちは、子供の頃に日本語の文法規則を誰からも教わらずに育ったにも関わらず、自由に日本語を使いこなせています。なぜこのようなことが可能なのでしょう。確かに国語の授業やテレビ番組などで「こういうときにはこういう日本語を使う」という風に「正しい日本語の使い方」を部分的に教わる、あるいは知識として取り入れることはありますが、果たしてその知識だけでこのようなことは可能になるでしょうか。

 次に外国語について考えてみましょう。「英語の文を作るときは、こういう順番で単語を並べる」とか「この形容詞はこの名詞を修飾できない」ということは習うことがありますが、「『なぜ』そうなっているか」についてはどうでしょう。「英語の文法にそういう規則があるからだ」という説明を受けることがあったかもしれませんが、ではその「英語の文法」に「なぜ」そのような規則があるのでしょう。また、英語と日本語では多くの相違点が見られると言われますが、共通点は本当に存在しないのでしょうか。  上で述べたような問いに解答を試みるのが言語学の目標です。もちろんここでの問いは、わたしたちの「ことば」について問題にされることのほんの一部であり、様々な問題が「ことばの研究」の考察対象になりえます。これも「ことば」ということば自体がとても広い意味を持っており、各国の文化研究や外国語習得論、さらには脳科学といった様々な領域と密接に関連しているからです。スクーリングの課題図書として挙げた2冊は、この「ことばの研究」という極めて幅広い学問領域に最初の一歩を踏み出すための良いきっかけとなります。これらの本を出発点にして「ことば」に対する理解を深めれば、言語文化学科でのより深い学びにつながるでしょう。

2020年度スクーリング情報➀

言語文化学科に合格されたみなさん、おめでとうございます。

今は大学生活への期待も高まる時期かと思います。これからの4ヶ月は、大学生活にとって重要な準備期間となります。それは勉学についても、それ以外の活動についても同じです。どうぞ一日一日を充実したものにしてください。

言語文化学科では入学前の準備教育として、「スクーリング」と呼ばれるイベントを実施しています。お手元に既に資料が届いているかと思いますが、日程・場所は以下のようになっています。必ず出席してください。

時:2020年3月7日(土)9:30-14:45
場所:泉キャンパス2号館224教室ほか

2号館はここです↓

             

<当日のプログラム>

Ⅰ.9:30~10:00 学科長挨拶、学生の自己紹介(2号館224教室)

①「ことばの分析」(岸浩介先生、32A教室

②「考えること・表現すること」(文景楠先生、32B教室

③「ことばの習得と教育」(坂内昌徳先生、32C教室

④「ことばとコミュニケーション」(信太光郎先生、32I教室)

11:10~12:00 〈課題2〉に関するセミナー part2

①「文化のしくみ」(津上誠先生、32A教室)

②「日本の言語文化」(房賢嬉先生、32B教室)

③「中韓の言語文化」(金永昊先生、32C教室)

④「英米の言語文化」(秋葉勉先生、32I教室)

⑤「独仏の言語文化」(宮本直規先生、32J教室)

 ( 12:00~12:50 昼食 )

Ⅳ.13:00~13:45 優秀卒業論文発表会( 第一部 2** 教室 )

14:00~14:45 優秀卒業論文発表会( 第二部 2** 教室 )


今日の国際交流サロン

毎週木曜日は、言語文化学科に来ている留学生を交えて、「国際交流サロン」という交流会が行われます。本日はどんな様子だったか、少しお邪魔してみました。

タイからの留学生からタイ語を学んでいます。
ドイツから来た3人の留学生と「FRESKO」というゲームをしています。ドイツの地図を囲んで、ドイツ語でゲームのルールについて説明を聞いているようです。
韓国から来た留学生と부루마블(ブルーマーブル)というゲームをしています。日本版不動産王みたいなものかな?これで韓国での買い物は完璧に出来そうです。
中国語組は真面目に勉強していますね。しかし、お菓子もあって、ハロウィンデーらしき帽子を被った学生も見えます。


「国際交流サロン」は誰にもオープンなので、ぜひ参加して、留学生との交流を深めてください。

2020年度「原典講読」担当教員(予定)

2020年度「原典講読」の担当教員は下記になる予定です。
3年生向け演習の予備登録をする際の参考にしてください。

・ドイツ語:門間俊明先生
・フランス語:新任教員
・中国語:塚本信也先生
・韓国朝鮮語:金永昊先生
・英語:デール・アンドリューズ先生
・英語:信太光郞先生
・英語:房賢嬉先生
・英語:渡部友子先生(前期)/岸浩介先生(後期)
・英語:新任教員(国際政治)
・英語:新任教員(美術史)

「海外で日本語を教える」の講演会が大盛況で終わりました。

9月26日(木)に泉キャンパス2号館226教室で行われた「海外で日本語を教える」の講演会が大盛況で終わりました。

佐伯先生による講演者の紹介
みんな一生懸命に話を聞いていました。本当に充実した講演会でした。
講演会終了後には活発な質疑応答が行われました。
海外で日本語を教えることへの関心は高いな、と改めて思いました。
講演会終了後にも先生への質問、感想などを一生懸命に書いていました。

【新任教員の紹介】房賢嬉先生(日本語学・日本語教育学)

<Q1> 「お名前」をお教え下さい。

房賢嬉(ばん ひょんひ)です。

<Q2> 「ご専門(あるいは担当科目)」をお教え下さい。

専門は日本語学、日本語教育学です。

<Q3> 好きな食べ物は何ですか。

「お父さんとお母さん、どっちが好き?」のように、答えに困る質問ですね。食べ物は全般的に好きです(笑)。

<Q4> 好きな映画を紹介してください。

『Billy Elliot(リトルダンサー)』という映画が好きです。イギリス北部の炭鉱町に住むビリーエリオットという少年が様々な逆境を乗り越え、立派なバレエダンサーへと成長する物語です。イギリスのジョージ王子がバレエ好きとして知られているほど、今はバレエ男子も増えてきていますが、映画の舞台になっている1984年のイギリスでは「バレエは女子がやるもの」という認識が根強くあったようです。このような社会の偏見、家族の反対、不況、貧困という厳しい状況の中でも、少年はバレエへの思いを募らせます。猛反対していた父親も息子の真剣な踊りを見て、ビリーを支えてあげようと決意します。ここからが泣けます。この映画の背景には、炭鉱労組のサッチャー政権に対する合理化反対闘争があり、ビリーの父と仲間たちはストライキを繰り返します。しかし、ビリーの父は息子の夢のためにストライキをやめ、仲間を裏切ろうとします。お父さんがスト破りをして炭鉱に戻るシーンは、今でも涙なしでは見れません。アダムクーパーが演じる大人のビリーが登場する最後のシーンは圧巻です!何度見ても飽きない大好きな映画です。

<Q5> 最近嬉しかったことは何ですか。

七夕まつりを見たことです。赴任する前に何度か仙台を訪れましたが、七夕まつりの時期と微妙にずれてしまい、七夕飾りを鑑賞することができませんでした。通りを彩る様々な飾りを見て感動しました。これが今年の飾りです!



<Q6> 感銘深く読んだ本と学生に推薦したい本をお教えください。

たくさんあって、選びにくいですね...。時々思い出す本は、子どもの頃読んだ『ぼくらの未来: 花たちに希望を(Hope For the Flowers)』です。絵本ですが、人生とは何なのか深く考えさせられる内容です。推薦したい本は、『暇と退屈の倫理学(國分功一郎著)』です。大学院時代の仲間たちとゆるい読書会をしていますが、今年の春に読んだのがこの本です。暇と退屈についてこんなに深い考察ができるんだーと感心しながら読みました。少し難しいですが、面白いです。

<Q7> 研究者(あるいは教員)を志したのはいつですか。

学部生の時からだと思います。きっかけは、大学3年生のときにとった「日本語音声学」という授業です。前期は音声学の基礎的な知識を学び、後期は前期に学んだ知識を活かして好きな文章を朗読し、録音したものを提出するという授業でした。その授業を通して自分の発音が上達したことに気づきましたが、そのときに「それはなぜなのか」という問いが生まれました。その問いがのちに博士論文になりました。

<Q8> 学院大(生)のよいところをお教え下さい。

学生によってよいところが異なりますので、一言では表せません。

<Q9> 学生時代に印象に残った先生について教えてください。

大学院時代の指導教官です。先生から、「社会的弱者やマイノリティーを支えるための日本語教育」、「人がより人間らしく生きるための日本語教育」について学びました。言語活動と人間活動は一体のものであり、「言語のあり方の良さ=人の生き方の良さ」ということを学んだおかげで、日本語教育に対する視野が広がったと思います。

<Q10> 異文化“誤解”のエピソードがあればお教え下さい。

大学院時代のエピソードです。知り合いのおばあさんが骨折で一か月以上入院すると聞き、お見舞いに行きました。病室で少しでも長く楽しんでもらおうと思い、リーガスベコニアの鉢植えを持っていきました。付き添っていたおばあさんの息子さんに鉢植えを渡したら、とても困った顔で、「これは家に持って帰りますね」と言われたのです。当時は理由が分からず息子さんの行動が理解できませんでした。後日、日本では「鉢植えの花」を持ってお見舞いに行くことがタブーとされていることを知りました。人(または、その人が属している文化)によって「鉢植えの花」に対する意味づけがこんなにも違うんだと改めて感じました。私は「鉢植えの花」を「長生きする=元気=縁起がいい」ととらえていたのに対し、おばあさんの息子さんは、「根付く=寝付く=縁起悪い」ととらえていたのです。文化や言葉の違いが価値観の違いを生み、それが誤解につながると感じたエピソードです。

<Q11> 赴任以来、「なんでやねん」と思わずツッコんでしまった出来事はありますか。

icscaが自販機やコンビニの買い物に使えないことです。suicaやpasmoは使えるのに「なんでやねん!」と思いました。

<Q12> 五月病に悩む学生へ一言、「こうしてごらん」。

ゆるく生きましょう。五月病になりやすい人は、きっとまじめで頑張りすぎる人だと思います。なんでもきっちりしようと思うから、不安になったりストレスをためやすくなったりすると思います。少し失敗してもいいし、無駄なことをする時期があってもいい。気楽にやりましょう。

夏のオープンキャンパスが無事に終わりました。

2019年7月26日(土)は夏のオープンキャンパスが盛況のうちに無事終了致しました。台風の予報はあったものの、県内外から200人を超える高校生と保護者たちが言語文化学科のブースを訪れました。言語文化学科では、言語文化学科らしいグローカル(GLOBAL+LOCAL)な活動が展開され、高校生や保護者に対して言語文化学科で学ぶ面白さを伝えることができました。

フランスの言語・文化ブースの様子
(左)言語論、(右)文化論の様子

教養学部の言語文化学科は、①文化のしくみ(文化論)、②ことばと教育(日本語教師、英語教師)、③国際交流、④世界各地域の言語文化(英米・ドイツ・フランス・中国・韓国朝鮮・日本の言語文化論)、⑤表現と文化(メディア文化・西洋美術史)、⑥言葉とコミュニケーション(哲学・倫理学)、⑦言葉のしくみ(第二言語習得論、言語論)の7つのグループ、計14ヶ所のブースが設けられました。

(左)ドイツの言語・文化ブース、(右)倫理・哲学ブースの様子

県内外から多くの高校生と保護者が訪問され、興味のある各ブースに質問をしたり、近くにいた在学生ボランティアさん及び留学生の方々から大学生活を聞いたりしながら、言語文化学科での勉強のイメージを膨らませていました。

韓国から来た留学生から日本での生活や東北学院大学での勉強を聞くことが出来ました。
たくさんの専門分野を持つ先生からいろんな話を聞きました
津上先生による学科ガイダンス
模擬授業の様子

模擬授業は、(左)佐藤先生の模擬授業「日本人の知らない日本語!?:日本語教育ミニ体験」、(中)文先生の模擬授業「バイリンガルな生き方」、(左)松谷先生「日韓文化比較」のテーマで行われ、とても充実した内容でした。

個別相談の様子
反省会及びアンケート回収

今回は「学科ガイダンス」「模擬授業」「個別相談」など、言語文化学科に興味や関心を持ってもらえるような様々な取り組みが行われました。この場をお借りし、ご来場の皆様を始め、学生ボランティア、先生の方々のご協力に感謝申し上げます。

*     *     *

以下は、在学生・留学生ボランティアの感想文です。

●思ってた以上に興味を持ってくれる学生が多くてよかったなと思う。また、説明することで自分の学んでいることが再確認できたと共に自分の学科が改めて好きだなと思えることが出来てとてもいい経験になった。
●高校生や親御さんに言語学の面白さを伝えられてよかったのではないかと思う。来年以降も言語学ブースは言語学好きにやってもらいたいです。
●自分が高校三年生の時にオープンキャンパスに来たのを思い出して、できるだけ高校生の気持ちになって相手に話をした。
●最初は何を話すか、しっかりと話せるか不安だったが、来てくれた高校生に自分のブースの魅力や大学についてなど一生懸命伝えられたと思う。OCを通して自分も成長できた気がする。良い刺激を貰った。OCのボランティアを行なって得たものが多いと感じた。
●久しぶりに高校生と話す機会だったので、自分が受験生だった時の気持ちが蘇ってとても新鮮な気持ちになりました。
●高校生の方々の意欲を感じた。すでに言語文化に入ってどんなことをしたいのか決まっている人が沢山いて驚いた。受験を不安に思っている高校生の方もいたが、ぜひ入学して一緒に勉強する日が来るといいなと思った。
●言語文化に入りたいと熱心な高校生たちにたくさん会うことができて嬉しかったです。3、4年前の自分を思い出しながら、高校生たちを応援してあげたい気持ちでいっぱいでした。自分に伝えられることは頑張って伝えられたと思います。
●興味をもってくれる学生さんが多くて嬉しかった。私が伝えられる言語文化学科の良さをちゃんと言うことができたのでよかった。私たち自身が楽しんでできたので言語文化学科の楽しさが伝わったのではないかと思う。
●あまり日本語教師について知らなかった親御さんに詳しく説明したところ、「知らないことを知れて良かった」や「話聞いてて楽しそうだと思った」など、お子さんに自分から「言語文化いいじゃん!」と言っていたので、自分のやってることを理解してもらえたみたいで、やって良かったなと思いました。
●言語文化の魅力やドイツ語の魅力を高校生1人1人の興味に対応した紹介をすることで、自分が何を勉強しているのか、改めて認識する機会にもなり、高校生の意欲に私自身も刺激を受けた。
●オープンキャンパスを通して、言語文化学科にこんな多い分野があることを知るようになりました。日本に来てから学校から色々助けをもらいましたので、ちょっと役に立ちたいので、申し込みました。たくさんの日本人の高校生と交流できて、言語文化学科の先生方々と一緒に頑張ることができて嬉しかったです。 

韓国総領事館を訪問しました

去る7月11日(木)は、言語文化学科で韓国・朝鮮語を履修する1年生たちが、金永昊先生の引率のもとで駐仙台大韓民国総領事館を訪問しました。毎年、1年生たちが訪問している恒例の行事で、今年も朴容民総領事をはじめ、みんな温かく迎えてくださいました。

朴容民総領事との懇談会

総領事館では、朴容民総領事から歓迎の挨拶の言葉を頂いた後、本学科の学生が自己紹介をしました。総領事は学生の語学力と積極的な姿勢を高く評価し、将来的には日韓交流の懸け橋となる人材として育ってほしいと激励の言葉を述べられました。なお、韓国総領事館は、東北に所在する唯一の在外公館であり、東北地域と韓国がどれだけ近い関係にあるかが分かります。 

次に、金姃和領事により、在外公館の役割(政治・経済・在外国民・教育)、日韓の文化交流などの様々なことについて話をうかがいました。私たちのために丁寧に発表資料を準備していただいたおかげで、大変面白く話をうかがうことが出来ました。

学生たちはみんな総領事館に訪問するのは初めてで、最初は、「総領事館とはどんなとこ?」「こんなとこに総領事館があったんだ!」との様子でしたが、今回の訪問を通して、日韓関係について真剣に考えるきっかけになり、訪問者一同にとって貴重な国際経験となったと思います。