スクーリング情報③【ことばの習得と教育】課題図書紹介

課題図書紹介【ことばの習得と教育】(担当:渡部友子先生)

1.『外国語学習に成功する人、しない人』白井恭弘著

「何年も勉強しているのに英語が使えるようにならない」という挫折感を多くの日本人が抱えています。しかし一方で、英語を使って国際的な舞台で活躍する人もいます。成功と挫折を分ける要因は何なのでしょうか。そして、どういう学び方をすれば、英語が身につくのでしょうか。この本は、これらの問いに答えてくれます。

「これさえやれば英語が話せる」というような宣伝を見聞きすることがありますが、実は科学的根拠に基づいたものは少ないのです。外国語習得の研究者である著者は、これまでの研究で分かったことを紹介しながら、学習のコツを具体的に提示しています。「なぜ」を理解し「どう」すればいいかが分かれば、学習はしやすくなると思います。この本は、大学入学後も継続して学ぶ英語と、新たに学ぶ第二外国語の学習を支える一冊です。

 

2.『「達人」の英語学習法』竹内理著

「外国語は幼いうちに始めた方がよい」とよく言われます。実際、中学校で学び始めて最終的に高いレベルの英語力を手に入れる人が少ないことは、調査でわかっています。しかしこのことを逆に見ると、少数だが存在する、とも言えます。「達人」と呼ぶべきその少数派に、この本は注目します。彼らは一体、どのような学び方で英語をマスターしたのでしょうか。

第1~2章は、外国語習得に影響を与える様々な要因(年齢や性格など)について、研究で判明していることを紹介します。この部分は、白井氏の著書と一部内容が重なります。第3~5章は、達人たちが実際に行なった学び方の共通点を導き出し、効果的な学習方法を探り出します。そこからわかるのは、短期間で楽に英語が身につくような魔法はない、でも努力の仕方に秘訣はある、ということです。日本に生まれ、日本で普通の英語教育を受け、長期の留学経験もない人が、どうして英語の達人になれたのか、あなたも知りたくありませんか?

スクーリング情報② 【文化のしくみ】課題図書紹介

【課題図書紹介】 -文化のしくみ-         担当:津上誠 先生

 

 「文化」とは、各社会の人々が共有するものの見方や考え方のことを言います。「文化のしくみ」では、芸術や思想のように高尚なものから、家族とか衣食住、恋愛、占いのように、そこら辺に転がっていそうなものまで、さまざまな事柄を「文化」の現れとしてとらえ、考察します。

 「文化のしくみ」研究には、「異文化理解を通じて自分の文化に気づく」という基本姿勢があります。 『イスラームの日常世界』 を選んだのは先ずそのことをわかっていただくためです。イスラム教徒は、1日5回祈るとか、女がベールを被るとか、断食月があるとかいった、不思議な習俗を実践します。この本はそれらを具体的に紹介しながら、実は彼らには私達にはない「すごいところ」があるのだということを、次第に気づかせてくれます。

 もしあなたの身近に、いつもあなたを気にかけてくれ、何もかも与えてくれ、賢い生き方を教えてくれる人がいたら、あなたはその人に喜んで従いたくなるはずです。イスラム教徒にとっての神とはそういう存在です。彼らの「すごいところ」とは、そういう存在を信じられるということです。個々の習俗は苦行ではなく神が教えてくれた理にかなった行為としてとらえられます。日々の生活は神と共にあり、意味に満ちあふれています。

 この本を読んでいくうちにあなたは、「すごいところ」を持たず何もかも自己決定せねばならない私たちの方がむしろ苦しい生き方をしているのではないかと思えてくるかもしれません。このときあなたは自文化についてひとつの気づきを果たしたことになります。

 さて、もう一つの本には 『在日韓国・朝鮮人』 を選びました。それは、差別といったリアルな社会問題に直面したときにも「文化」を考えることになるのだということに、ぜひ気づいていただきたかったからです。

 この本では、「在日」の人々が、自分が差別的状況の中にあると少しでも自覚してしまった場合、色々な「生存戦略」を採ることが紹介されています。自分が「在日」であることを隠し、普通の「日本人」として通そうとする人がいますし、そもそも自分は「在日」ではなく祖国(北朝鮮や韓国)の人間なのだと位置づける人もいます。他方、自分が「在日」であることを隠したり否定したりしない人もいますが、そういう人々にも、自分は何よりも「在日」なのだと言って「在日」というカテゴリーをありのままに肯定させようとする人がいれば、自分は確かに「在日」だが、そもそも私が何人(なにじん)であるかは(例えば私が音楽家であるということに比べれば)さして重要なことではないと言う人もいます。

 しかし、この本をじっくり読んでいくうちにあなたは、「在日」の抱える問題の根っこには、「日本人」自身が知らず知らずにとってしまいがちな「民族」についての思い込みがあることに、気づいていくと思います。それは、人々を「韓国朝鮮人」か「日本人」かのどちらかに分けたがり、どちらとも言えない曖昧な存在は許さないという、「日本人」自身がとりがちな分類法です。差別といった生々しい問題にも、「文化」すなわち社会の人々が共有するものの見方・考え方が、根底に横たわっているということです。

2018年度 スクーリング情報(1)

言語文化学科に合格されたみなさん、おめでとうございます。

今は大学生活への期待も高まる時期かと思います。これからの4ヶ月は、大学生活にとって重要な準備期間となります。それは勉学についても、それ以外の活動についても同じです。どうぞ一日一日を充実したものにしてください。

言語文化学科では入学前の準備教育として、「スクーリング」と呼ばれるイベントを実施しています。お手元に既に資料が届いているかと思いますが、日程・場所は以下のようになっています。必ず出席してください。

日時:2018年3月3日(土)10:10-17:00
場所:泉キャンパス2号館224教室ほか

2号館はここです↓

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<当日のプログラム>

Ⅰ.10:10~10:50 スクーリングの説明、学科長挨拶、学生の自己紹介

             (2号館224教室)

Ⅱ.11:00~11:50 〈課題2〉に関するセミナー part 1

①「ことばの分析」(岸浩介先生、32A教室)
②「考えること・表現すること」(文景楠先生、32B教室)
③「ことばの習得と教育」(渡部友子先生、32C教室)
④「ことばとコミュニケーション」(小林睦先生、32I教室)
⑤「日本語学と日本語教育」(佐藤真紀先生、32J教室)

Ⅲ.12:00~12:50 昼食

Ⅳ.13:00~15:15 学びのオープンキャンパス(4年生が高校生に向けて卒業論文について発表するイベントです。具体的なプログラムは当日お知らせします。)

Ⅴ.15:30~16:20 〈課題2〉に関するセミナー part 2

①「文化のしくみ」(津上誠先生、32A教室)
②「日中韓の言語文化」(原貴子先生、32B教室)
③「英米の言語文化」(秋葉勉先生、32C教室)
④「独仏の言語文化」(宮本直規先生、32J教室)

<休憩> 16:20~16:30 → 224教室に移動

Ⅴ.16:30~ アンケート回収及び解散

留学生と宮城県立図書館へ

毎週水曜2校時はいわゆるゼミなのですが、本日(13日)は土曜の振替授業日に当たったため、図らずも“休講”の態となりました。がしかし、滞日期間の限られた交換留学生にとって、この“休講”はあまりに惜しい(彼女たちは大学院生ですから)。かくて、向学心に燃える中国人学生と教員の5名は、宮城県立図書館の参観に出かけたのでありました。

古書の魅力

今日話した内容は忘れてもいいです。しかし、古書を触り、感じた記憶だけは留めておいてください。皆さんはこれから一生、古書を触るチャンスがないかもしれません。

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金永昊先生の原典講読の授業では、随筆・小説・新聞など様々なジャンルの韓国語で書かれた本を読んでいますが、今日の授業では少し別の話題に移りました。文禄・慶長の役を通じて朝鮮から日本へもたらされた書物や印刷技術の話、そして日本での翻訳・翻案の話、それと併せて、漢籍や和古書を実際に触り、その魅力を感じてもらいました。

まず、「朝鮮籍では、2行で書かれたものと1行で書かれたものはどんな違いがあるか」という質問があり、「1行で書かれたものは本文、2行で書かれたものは注釈」との説明がありました。それに加えて、〇を付けたところは、漢文でもハングルでもなく、当時の朝鮮人が漢文を解読するために付した特殊な記号、つまり「口訣」というものだそうでした。日本でも片仮名は同じような発想で生まれたようで、このようなところにも日韓の考え方の共通性が見られると思いました。

これから一生古書を触るチャンスはほとんどないと思いますが、もし、あったとしてもマスクを被ったり、手袋をしたりしなければならないそうです。しかし、金永昊先生は、「それでは古書の魅力を直接感じることが出来ないため、いくらでも素手で触っていい」とおっしゃいました。その代わり、ページをめくる時には唾を付けてはいけないそうです(下図参照)。

どうして左下の矢印のところだけ黒いでしょうか。人々はこの本を今で言うとレンタルショップから借りて読み、指に唾を付けてページをめくったのでしょう。どれだけたくさんの人が読み、ページをめくったのでしょうか。我々も唾を付けてページをめくると、病気が移るかもしれないそうですが、果たしてそうでしょうか(笑)。また、虫食いの跡も見られます。湿度が高い地域で保存された本は虫食いが多く、低い地域で保存された本は虫食いが少ないそうです。虫と卵を簡単に殺せる方法として、古書をラップで巻いて電子レンジに入れるという裏技もあるそうです。

特に日本の古書は挿絵が多いです。現代の漫画文化の原点は、このように豊富に盛り込まれた挿絵にあるそうですが、びっくりしたのは本文・振り仮名・挿絵までこんなに細かく板木に一々掘って、印刷したということです。特に、本を開いた状態で挿絵を鑑賞するためには、板木を2枚利用して掘らなければならなかったことが興味深かったです。

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 最後に、古書の保存について嘆かわしい事実を教えられました。それは、例えば、五巻五冊の書物の場合、全巻揃ったことで重要な意味を持つことになります。しかし、全巻揃った状態だと値段が高くて、販売(業)者にとってはなかなか販売できないため、ばらして1冊ずつ売ってしまうケースがあるそうです。そうすれば、古書に少しだけ興味がある人でも買いやすいし、販売(業)者も古書を売りやすいそうです。しかし、そうなると、何百年も一緒にいた兄弟が別れてしまうようなことになり、一度別れた兄弟はいつ再会できるか分からなくなります。もちろん、古書の販売は重要であるとはいえど、バラバラではその重要性がなくなってしまいます。

言語文化学科での留学生活②ー韓国、金亨珉(キム・ヒョンミン)さん

今日は韓国・平澤(ピョンテク)大学から来た金亨珉(キム・ヒョンミン)さんの留学生活をお届けします。どのようなことを学び、感じ、体験し、自己成長へとつなげているのでしょうか。

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1.4月留学始め

仙台に留学を来てサポーターの友達にお世話になりました。初めて来た時は皆んなと仲良くできるかなと心配していました。しかしそれは無駄な心配で皆んなとても優しい人でどのように授業を受けるか正確に説明してくれました。困ることがあったらいつも手伝ってくれることが忝ないでした。

2.仙台の食べ物牛タン

仙台で有名な食べ物牛タンを初めて食べました。今まで食べなかった柔らかい味でした。サポーターの友達と一緒に食べてもっと美味しいかったです。その後何回も牛タンを食べましたけど呆れない味でした。留学が終わったら食べなくなることが残念です。

3.花見

サポーター友達の主催で花見を見ながら皆んなと交流をしました。皆んなと親しむできるように機会を作ってくれたサポーターの友達にありがたいです。一緒に花見を楽しんで新しい友達を作ったし日本語の会話をたくさんできてとても嬉しいかったです。またこのような機会があったら参加したいです。

4.留学生だちと交流

色々な留学生たちが集まって交流をしました。中国人、台湾人、タイ人、日本人が集まって自分の国の食べ物を造ってくれたり伝統文化について教えたりしました。飲み会をして悩み相談とか自分の未来についても話しをして日本語で他の国の人とこんなに話しすることができるね!と改めて考え、とてもいい経験だと思いました。

5.青葉祭り

5月仙台で開催される青葉祭りに韓国人とサポーター友達と一緒に行きました。仙台の事後350年になった1985年、過去に存在した祭りを復活させる形式で始めました。仙台の伝統的な文化や色々なイベントを見ることができてとても珍しくて面白い体験でした。

6.七夕祭り

7月に開催される仙台で有名な七夕祭りに行きました。ショッピングアケイドに飾っている紙で作られた装飾物が綺麗でした。有益な時間を過ごし日本人友達があっちこっち説明しながら七夕祭りについて教えてくれました。また機会があったらもう一度行きたいです。

7.秋田旅行

東北学院大学で抽選を通じて一万で秋田旅行を行ける機会を得ました。韓国人留学生4人、中国人留学生2人、台湾留学生4人で行くことになって皆んなと話を交わす機会がありました。一泊二日の旅行で爆竹を作ったりピザを作り体験をしたりして楽しいことがいっぱいありました。また秋田で有名な花火を見ました。動画を撮ることさえもったえないくらいとてもとても感動的でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

知的な「つながり」の旅(教養学部公開講座)

9月14日(木)から12月14日(木)まで、知的な「つながり」の旅(大人の教養倶楽部)が土樋キャンパスホ―イ記念館 コラトリエ・リエゾン(18:30-20:00)で行われています。言語文化学科では、佐藤真紀先生「外国につながる子どもの学びを考える」(10月5日)、松谷基和先生「日韓関係の今昔」(10月12日)、金永昊先生「『雨月物語』「菊花の約」珍釈」(10月19日)の3人の先生の講演が終了し、12月14日には信太光郎先生「人はいかにして物と出会うのか」が予定されています。

言語文化学科での留学生活①(タイ・サムランリット ヌッチナリンさん)

交換留学生たちが言語文化学科に来てからもう半年が過ぎました。どのような大学生活を送っているのでしょうか。今日は、タイの泰日工業大学からの交換留学生サムランリット ヌッチナリンさんの話を聞いてきましょう。

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私はタイからきました。タイはいつも暑い国です。季節は夏と雨季と冬、この3つだけです。平均気温は35度で、冬でも暑いです。そのおかげで、いつでも安くてとても美味しい果物や野菜が食べられます。タイ料理は日本料理と違って、しょっぱいだけではなく、辛酸っぱい味も加わっています。私のおすすめは「トムヤムクン(ต้มยำกุ้ง)」です。見た目はオレンジ色の海老スープカレーで、味はしょっぱくて酸っぱくて辛いですが、とても美味しいです。外国でもかなり有名で食べられると思いますが、やはり味がオリジナルと違います。私は留学してから、いつも本物のタイ料理が食べたい!と思っています。でも日本料理も美味しいので、我慢できます。タイと日本は、料理だけではなく、文化や礼儀なども違います。まだ慣れていない時は少し辛かったですが、知らない文化を少しづつ学んで、理解するのは留学の一つの楽しみだと思います。

    ↑トムヤムクン             ↑タイの海

私は日本のアニメをきっかけに日本語を勉強し始めました。タイの大学でもアニメーションの作り方を勉強していました。泰日工業大学の情報学部のマルチメディア学科の4年生です。東北学院大学に留学して、言語文化学科の学生になってから、「社会によって人が違う」と誰かが言った言葉をきちんと理解できました。私のコミュニケーション力が低くて、最初は皆のテンションに追いつけなかったので、辛くて寂しかったですが、どんどんサポーターさんたちや同じ留学生たちと仲良くなって、今は楽しい留学生活を過ごせるようになりました。

私は将来日本で働きたいのですが、自分の日本語能力はまだ足りないので、日本に留学しています。タイと比べれば、日本はイベントが多いと思います。お花見、七夕祭り、大学祭、色々なイベントに参加して、楽しかったです。アルバイトも始めてできました。タイ語を教える機会まであります。授業でできない体験を沢山できて、とても良かったと思います。色々な場面で日本語を話して、少しですが、私の日本語能力は上達したと思います。

 先生とサポーターさんたちに支えられて、日本語も日本文化も学べて、とてもいい経験をしています。